パリコレクション/伊藤忠フランス会社

 

フランスと言えばファッション、ファッションと言えばパリコレクション、というわけで、ご興味がおありの方も多いパリコレについてお話しさせていただきます。

 

パ リ・コレクションはフランス語ではSemaine de la mode à Paris、英語ではParis Fashion Weekと言いますが、年2回、パリで開かれる服飾ブランドの新作発表会です。その始まりは20世紀初頭のベルエポックと呼ばれた文化爛熟期にさかのぼ り、高級衣装店協会が最高の素材と

 

技術・芸術的センスで仕立てられる最高権威のコレクション「パリ・オートクチュール・コレクション」として開催したもの です。オートクチュール=Haute coutureとは最高級注文服のことですが、これが1970年代から大量消費時代のモード Prêt-à-porter=プレタポルテ(既製服)に移り変わり、今ではパリコレと言えばこのプレタポルテのことを指すのが普通になっています。厳密に 言えばパリコレはオートクチュールが年2回、プレタポルテも年2回行われるわけですが、第二次世界大戦直前には106ものメゾンを数えたフランスのオート クチュールも、1980年代から1990年代にかけての世代交代期には激減し、現在オートクチュールの技術と資本を備えているメゾンは10前後といわれて います。一方プレタポルテはパリコレの公式日程だけでも90以上のブランドが参加していますが、最高級注文服をオーダーする顧客は世界中に2000人にも 満たないのではないかと言われており、プレタポルテへの移行は時代の移り変わりの象徴とも言えます。

さて、そのプレタポルテのパリコレですが、レディスを例に取ると3月に秋冬コレクション、10月に春夏コレクションが2週間前後の日程で開催されます。メ ンズはそれより少し早く、秋冬コレクションは1月、春夏コレクションは6月に1週間弱程度の日程で開催されます。こういうコレクションは、パリ以外では主 にミラノ・ロンドン・ニューヨーク・東京で開催されますが、パリコレは世界的にも一番規模が大きく、その年のファッションの流行に対する影響が大きいため に、もっとも注目度は高いと言えます。世界各国のメディアやファッション関係者、主にバイヤー・ジャーナリスト・カメラマンが開催時に招待客として前列に 並び、その他特に有名デザイナーのメゾンにおいては、世界的な著名人やVIP顧客などが招待されるために、とても華やかな雰囲気がかもし出されます。映画 スターやミュージシャンが招かれてショーの始まる前に即興のインタビューをされている姿をよく見かけますが、それ以外の一般来場者も飛びぬけておしゃれな 方や人目を引くファッションの方が多く、見ているだけで楽しくなります。こういうパリコレの来場者たちは目が肥えているのでしょう、よいコレクションとそ うでないものに対するリアクションが実にはっきりしていて、よいものにはいつまでも惜しみない拍手が送られる代わりに、そうでないものには拍手もまばら で、終わるか終わらないかのうちに次の会場に行くため一刻も早く会場を後にしようとする姿が露骨です。だからこそデザイナーも真剣勝負と言えるのでしょう が、これほどはっきりした反応には恐いと思えるときがあるほどです。

パリコレの期間中、朝10時から夜は8~9時まで一時間おきにコレクションが開催されますが、きっちり時間通りに始まることはまずありません。大体30分 遅れで始まりますが、ひどいときには一時間近く遅れるときがあります。売れっ子のモデルは各ショーを掛け持ちしているために、前のショーが終わってから次 のショー会場に行き、化粧をそのブランドとコレクションに合わせて念入りに行ってから本番が始まるので、遅れるのもやむなしと思われているようです。ま た、プレスやカメラマンも同じく前のショーから次のショーに移動してくるので、彼らがそろわないとショーが始められないという事情もあるようです。わから ないこともありませんが、それにしても朝一番のショーから30分遅れるのはどうしてでしょうか。ちなみに東京のコレクションは規模もはるかに小さく、人数 も少ないのですが、時間だけはきっちり始まります。さすがというべきか・・・

最近のショーはどんどん短くなっているようで、大体一つのショーの所要時間は15分程度です。もう一つ昔に比べて変わったと思われる点は、モデルの数が増 えたと言うことです。モデルの数が少ないとモデルは一つのショーで何度も着替えをせねばならず、BACK STAGEは戦争状態になりますが、モデルの数が増えて少しはマシになったのでしょうか。もちろんモデルの数が増えるということはそれだけコストがかさむ ということで、メゾンにとっては頭の痛いことに違いありません。

そのコストですが、パリコレに出展するにはいくらかかるのでしょうか。一回の出展で4~5千万円かかると言われています。わずか15分のショーのために半 年前から準備をして、ショーの数日前はほぼ徹夜状態、さらに多額のコストがかかる、それでもパリコレに参加できないブランドがたくさんWAITINGして いると言われています。やはりパリコレは偉大です。