インタビュー:アメリカンホスピタルの三村佳弘先生

アメリカンホスピタルの三村佳弘先生に日仏医療の違い、
市販のお薬、日々の健康管理等に関してお話を伺いました。

 

 

こんにちは。パリアメリカンホスピタルの三村です。

 

私は2009年よりこちらで勤務しております。フランスは慣れるととてもいい所ですが、こちらにいらしたばかりの方は何かと不安も多いと思います。特に病気になると言葉の壁以外にも医療システムの違いなどに困惑されるかもしれません。病気はならないに越したことはありませんが、万が一のときにあわてずにすむように基本的な情報(救急車の番号など)をおさえておくとよいと思います。

 

皆様が健やかにフランス生活をエンジョイされることを心より願っております。

 

Q.1: 健康診断の日仏の正常値・異常値の違い、ってありますか?

・血圧    

正常値、異常値の基準に関して大きな違いありませんが、フランスではたとえば120mmHg)を12ということが多いようです。

・コレステロール値

正常値、異常値の基準に関して大きな違いありませんが、単位が違うことがありますので、日本の数値と単純比較できない場合があります。

・尿酸値

正常値、異常値の基準に違いはありません。

・その他

血糖値も正常値、異常値に関して大きな違いありませんが、単位が違うことがありますので、日本の数値と単純比較できない場合があります

 

Q.2: 市販薬 その1

・日本人とフランス人で効き方に違いはありますか?

特に違いはないと思います。

・フランスの市販薬の処方通りに(日本人が)飲んでも大丈夫?

大丈夫だと思います。

 

Q.3: 市販薬 その2

日本では頭痛、胃痛などに対処する一般的な市販薬がありますが、フランスでそれぞれに対応する市販薬って何ですか?

市販薬でもアレルギーがでたり、持病がある人は控えたほうがよい場合がありますので、フランス語の説明書を読む自信のない方は日本で買って持ってきたほうがよいと思います。

・頭痛(セデス、バファリン)→DOLIPRANE IBUPROFENE ASPIRINEなど

・胃痛(ガスター10)→    OMEPRAZOLEなど

・消化促進(太田胃酸)→ CITRATE DE BETAINEなど

・下痢止め(正露丸)→   SMECTAなど

・整腸剤(ビオフェルミン)→ LACTIBIANEなど

・風邪(ルル)→ FERVEXなど ただし私自身は飲みません。風邪薬には風邪自体を治す作用はありません。

・風邪(漢方薬系 葛根湯)→ フランスでは聞いたことがありません

・かすり傷消毒(オロナイン、マキロン)→CHLORHEXIDINEなど

・のどの痛み(龍角散)→STREPSILSなど

 

Q.4: 市販薬 その3

12歳以下は大人と同じ市販薬を量を減らして飲むのではなく、フランスでは大人とは別に子供用市販薬があるって本当ですか?

 日本にも子供用の市販薬はあります。こちらではDOLIPRANEなどは年齢や体重別に売っています。

 

Q.5: 日仏で受ける予防接種に違いはありますか?

・日仏それぞれで定められている予防接種の種類

日本では近年種類がかなり増えたため、ほとんど違いがなくなってきました。それぞれの回数や時期など具体的にはインターネットに詳しく出ています。主な違いは水ぼうそうは日本では定期接種となっていますが、フランスでは任意です。逆におたふくと髄膜炎はフランスでは定期接種 (推奨)ですが日本では任意です。ただし厳密にはフランスにおいて「法的義務」があるのはジフテリア、ポリオ、破傷風のみです。その他は「推奨」(といってもほとんど子供は受けています)という位置づけです。しかしマクロン新政権ではこれらも「法的義務」とする可能性がありますので今後は学校やビザ取得時などで予防接種履歴のチェックが厳しくなるかもしれません

 

Q.6: フランスの花粉症

非常に多くの種類の花粉が飛んでいるそうです。

ただし幸いなことに日本で一番問題となるスギ花粉はほとんどないようです。私自身も日本では花粉症に悩まされていましたが、こちらに来てから快適な春を過ごしています。いまパリでどの花粉がどのくらい飛んでいるかにつきましてはhttp://www.pollens.fr/accueil.phpを参照にされるとよいと思います。

 

Q.7: フランスの良い歯科医、眼科医の見分け方?

歯科にしても眼科にしても結構専門分化が進んでいますので、御自身の症状(網膜の問題なのか、緑内障なのかなど)にあわせて医師を選ばれたらよいと思います。私自身は一人の患者さんにゆっくり時間をかける眼科医を選ぶようにしています。

 

Q.8: 救急車を呼んで、きちんとアメリカンホスピタルに搬送して貰うには?

公的な救急車は病院を指定できません。通常最寄の病院に搬送されます。

民間の救急車は指定できます。ただしこれまであまり使用された方を存じません。

例)Ambulance LOAN  Tel 0139152639 (英語またはフランス語)

 

Q.9: 日本に出張した際に買い貯めておいた方が良い(安い)薬

・湿布薬? 

確かに湿布は日本のほうが圧倒的に安いし機能的です。また眠気を取るようなすきっとさせるタイプの目薬も確かにこちらではあまり見たことがありません。ホッカイロや冷えピタ、ポカリスウェットの粉もいざという時に役に立つかもしれません。

 

Q.10: もしも牡蠣にあたったら?

スプーンに少しずつ水分を取ってそれを頻回に飲むのがよいと思います。一度にたくさん飲むと吐いてしまいます。ただの水よりは多少塩分の入ったものがいいとおもいます。日本のOS1やフランスのADIARIL(薬局で売ってます)などが適していると思いますが、気持ち悪くて飲めないときはただの水でもよいと思います。とにかく脱水にならないようにしてください。

 

Q.11: フランスでの出産は日本よりも大変?

・夫の立会出産が基本ですか? 

完全に個人の自由だそうです。

・(お医者様への質問ではありませんが)フランスで生むとフランス国籍が貰えるの?

残念ながら貰えません。

・フランス語は話せなくても(聞いて理解出来なくても)アメリカンホスピタルなら

フランスで出産できますか?

これまで多くの日本人妊婦さんが当院で出産されましたが特に大きな問題はなかったと認識しています。

 

Q.12: 人間ドックの胃カメラ、大腸検診の際の全身麻酔は是か非か?

・全身麻酔すると寿命が縮む、って、本当ですか? さすがにそれはないと思います。

私自身は部分麻酔で胃カメラを受けました。すこし苦しかったですが、我慢のできる範囲でした。この苦しさには個人差があると思います。すぐにオエッとなる人は全身麻酔のほうが向いていると思います。大腸カメラも麻酔なしで受けたことがあります。お腹が少し張ってくる感じがしますが、それほど苦痛ではなかったです。とにかく少しでも楽なほうがよい方は全身麻酔を選ばれるとよいと思います

 

Q.13: 三村先生お奨めの健康維持法?

・お奨めの運動、とその量は?

全力で30分ほど歩くことを週に23回行えばよいと思います。もちろん体重を減らす必要がある方はもう少し多めにやってください。

・お酒? 

まずお酒を飲むとすぐ顔が赤くなる人はゼロにしたほうがよいです。そうでない人もできれば日本酒1合(ワインだと大体3分の1ボトル)までにするのがよいとされています。ワインを保存する器具を買って1本を3日間に分けて飲むようにされたらいかがでしょうか?私はノンアルコールビールも活用しています

・煙草?

タバコは1日何本までなら大丈夫ですという基準がないので、ゼロを目指すのがベストですが、禁煙は吸う人にとってはとても難しいことみたいですね。禁煙を補助する医薬品はフランスにもありますので医療機関で相談されるのもよいかもしれません。

・血圧を下げるには?

太っている人はダイエットをすると血圧も下がることがあります。私自身は中学のとき肥満児だったので、その当時は高血圧気味でしたが、最近は正常血圧を保っています。また高血圧の患者さんのうち10%程度は2次性高血圧といって何らかのホルモン異常などが原因となっていることがありますので原因を調べてもらったほうがよいかもしれません。

コレステロール値を下げるには?

悪玉コレステロールに関しては従来のように動物性脂肪の摂取を控えるやり方ではあまり効果がないといわれるようになりました。コレステロール値は体質によるところが大きいようなので、適度な運動とバランスのよい食事をしていればよいと思います。数値が極端に高い人や親族に心筋梗塞や脳梗塞をおこした人がいる方がいる場合は内服治療が勧められます。中性脂肪が高い方は食事の量を減らし、青魚系を多めにとるといいでしょう。

・尿酸値を下げるには?

こちらも残念ながら体質によるところがかなりあります。私はビールは結構好きなほうですが、尿酸値はいつも低めです。しかし、生活習慣でもある程度改善できるようです。具体的にはまず太っている人は減量すると尿酸値も下がりやすいですし、プリン体の多いビールやレバーを避けることも大事だと思います。

・快眠の為の秘訣?

不眠の一番の原因は仕事のストレスだと思うのでなかなか難しい問題です。静かで暗い部屋のほうが一般的には熟睡できると思います。伴侶の方のいびきが気になる人は別の部屋に寝るか、耳栓をするとよいかもしれません。私の場合は太ももを疲労させると眠りやすくなるので夕食前に軽めのスクワットを100回程度行っています。枕については足拭きマットを折りたたんで自分の一番気持ちいい高さにして寝ています。深酒は中途覚醒の原因になりやすいので控えましょう。

・時差ボケ解消方法?

一般的に言われていますように、到着する予定地の時間に合わせておくのがよいと思います。パリから日本に行く場合、たとえば出発が17時だとしても日本ではすでに24時なので搭乗したらすぐに寝てしまったほうがよいことになります。そんなに早く眠れないという時には、私は睡眠薬を飲んで寝るようにしています。

 

Q.14: 老眼に効く食べ物ってありますか?

・ブルーベリー?  残念ながら老眼に効くということが科学的に証明された食べ物はないと思います。

 

 

三村 佳弘 先生

三村 佳弘
アメリカンホスピタル
日本セクション

 

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このたび、日本人の患者様へのサービス向上のため、三村医師の秘書直通電話(日本語)を設けましたので、ご利用下さい。三村医師の診察予約、お問い合わせ等は秘書直通電話に直接おかけください。また、三村先生以外の外来診察、その他のご用件は今まで通り、日本セクションにご連絡下さい。

 

三村医師の診察時間
Tél:01.46.41.26.16
平日 8:30~18:00
土曜日8:30~13:00

 

日本セクション
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健康診断センター
Tél:01.46.41.25.62
平日8:00~16:00

 

アメリカンホスピタル ホームページ
http://jp.american-hospital.org/

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