商社:小林 伸之/三井物産株式会社

2021年業界見通し(商社)                                                                                     

新年明けましておめでとうございます。

2021年の年頭にあたり、在仏日本商工会議所会員の皆様とご家族の皆様に謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 

昨年コロナウィルスによる未曽有の混乱を経験した世界経済は、本年は回復基調となり世界全体で約5%、欧州でも4.5%程度の実質GDP成長率が予想され、フランス政府も1000億ユーロの復興プランによる産業界への力強い支援を発表しています。一方、コロナウィルス克服に至る道筋には未だ不透明な要素もあり、世界経済が完全に立ち直るまでには今しばらく時間を要するとの慎重な見方が大勢を占めています。 

 

このような環境の下、経済・産業界の今年のキーワードを以下考えてみたいと思います。

 

まず第一に、「ポストコロナ社会に向けた新価値創造」は欧州のみならず世界の産業界が取り組むこととなる課題と言えましょう。コロナウィルスによる被害は未だ終息からは程遠い状況ではありますが、今年中には出口が見えてくるとの期待は全ての国々で共通です。コロナ後の世界では、今回の経験と反省を踏まえ、より安全で持続可能な社会を創ることが求められます。さまざまな産業分野において、新たな価値を伴う良質なビジネスが数多く芽生える年になることを期待したいと思います。

 

一方、斯様な大きな変化が訪れる中、欧州が世界をリードする分野は「環境問題への対応」や「持続可能な社会への移行」でありましょう。将来のグローバルスタンダード化を視野に、EU域内での新制度の導入や欧州主要各国政府による新産業促進策の実施等、具体的な動きが一層活発化する年になると思われます。

 

さらに「デジタル化の進展」や「サプライチェーンの変容」といったキーワードも引続き重要です。産業界の新陳代謝が促進され、過去のやり方や成功体験に縛られずに柔軟な発想で自らを変革できる企業が今後大きく飛躍していくことになると思われます。

 

最後に、経済・産業界のキーワードからは少し離れますが、多くの国が今年取り組むべき最大の課題は「分断された社会の再構築」ではないでしょうか。昨年はコロナ問題に端を発し、世界各所で分断や対立が現出した年でした。2021年は私たちの社会が、異なる立場を超えて、再び調和に向けた力強い一歩を踏み出す年になることを期待を込めて予想したいと思います。

 

本年が皆様にとり健やかで幸多き一年となりますよう心からお祈り申し上げます。

令和三年 元旦

三井物産株式会社

小林伸之


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