2021年 宇宙開発活動の見通し
新年明けましておめでとうございます。
2020年は未曽有の経験をした年でしたが、日本の宇宙開発の分野では年末に明るいニュースが2つありました。
1つ目は、11月の野口聡一宇宙飛行士を乗せた商業有人宇宙船クルードラゴン(米国スペースX社)の打ち上げ成功による、同飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在(約半年)の開始です。
もう1つは12月、小惑星「りゅうぐう」からのサンプルを搭載したカプセルを地球に帰還させ、また新たな宇宙の旅に出かけた「はやぶさ2」ミッションの話題です。
この流れで、2021年以降の主な活動予定を少しご紹介させていただきますと、まずは次のクルードラゴンの打ち上げで日本の星出彰彦宇宙飛行士が、船長としてISSに向かう予定です。ISS船長の役割は、若田光一宇宙飛行士に続き、日本人2人目の快挙です。
また、「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「りゅうぐう」のサンプルは、世界各国の研究者によって解析が進められる予定で、太陽系の起源や進化の過程、はたまた生命誕生の謎に迫るなど、その成果にも期待されます。
さらには、日本の新たな基幹ロケット「H3ロケット」の初フライトも2021年度中に実現の目標です。
これらの話題を繋げますと、宇宙開発活動は、地球観測分野など含め「地球を知り、地球を守る」ための取り組みを地道に続けています一方、「地球」⇒「宇宙ステーション」⇒「月」⇒「火星」⇒「惑星探査」へと人類の活動範囲を広げていこうという壮大な取り組みでもあります。
これらの活動が、国の機関による取り組みのみならず、世界における宇宙関連企業の大飛躍などにもより、明らかにこれまで以上に急加速で進められようとしています。
全世界的に閉塞感のあった2020年でしたが、この経験をバネに、2021年は壮大な未来に向かって飛躍の年になりますことを祈念しております。
JAXAパリ駐在員事務所
所長 須藤勝也