2021年度の食品業界について。
新年明けましておめでとうございます。
2020年はCOVID-19の感染拡大に伴い様々な変化があった年でありました。フランスにおける外出禁止令でレストランの営業が制限され、外食フードサービス分野は様々な工夫が求められました。一方、ピンチはチャンスであり、テイクアウトやUberEATSなどのオンラインフードデリバリー分野が大きく伸長しました。また外食から内食へのシフトが顕著になりました。会員企業の皆さまにおかれましては、在宅勤務を契機に自宅で調理する機会が増えたという方も多いのではないでしょうか。外食から内食へのシフトのトレンドは2021年も引き続き継続されるとみられます。
昨今、食品業界では、食品包装の前面での栄養素表示(注1)が話題になっています。この場をお借りして一部ご紹介させていただきます。欧州における栄養素表示は様々なものがありますが、代表的なものとして、ニュートリスコア(Nutri-Score)あります。「A」から「E」のスコアで栄養評価を緑黄赤色で表示するものです(出典*1)。消費者にとっては一目で健康的な食品がわかり、選択しやすくなるメリットがあります。一方、食品企業としては健康的な食品を消費者にアピールし、商品の差別化を図ることが容易になることが期待されます。スコアは、食品に含有されるカロリーや飽和脂肪酸、糖分、塩分などマイナス要素と、プロテインや食物繊維、果物・野菜・ナッツ類などのプラス要素で計算されます。この仕組みはフランスをはじめ、ドイツ、スペインでも任意で導入され、フランスでは市場の35%以上を占める236ブランドで導入済みとされています(2019年11月時点)。また、欧州委員会は2022年末までにEU域内共通の栄養素表示を義務化すると発表しています。EU全域でニュートリスコアが義務化されれば、2021年はその準備期間として重要な年になると考えられます。引き続き、欧州委員会、業界の動向には注視が必要です。
なお、本件はあくまでも私見であり、会社などの見解ではない旨をご了解頂ければ幸いです。
ヨーロッパ味の素社
中村啓
(注1)「食品包装の前面(front-of-pack)での栄養素表示」
(出典*1)JETRO 2020年8月28日 EUの新しい食品産業政策「Farm To Fork戦略」を読み解く
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2020/a718804066114a95.html
(出典*2)欧州委員会 Front-or Pack nutrition labelling scheme: a comprehensive review
https://publications.jrc.ec.europa.eu/repository/bitstream/JRC113586/kjna29811enn_1.pdf
以上