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「文化と経済の融合による日本の文化産業の創出」


この度は、在仏日本商工会議所設立50周年記念、まことにおめでとうございます。日本の経済の50年間の変動はすさまじいものでした。私が25年前にパリに滞在したときは、ジャパンアズナンバーワンという表現が語るごとく、日本経済は飛ぶ鳥を落とす勢いでした。一方、日本の存在感について当時の記憶をたどると、高度成長期から続く海外進出ブームの延長で、バブル投資に走る経済拡大主義の日本の姿しか思い起こせません。その頃、パリに滞在していた私は、いつか美しい日本の姿を理解してもらうような仕事がしたいとひそかに思っておりました。
そのときから20年ほど経って、パリに戻ってきました。日本経済はアベノミクスに支えられているとはいえ、このさき高度成長を実現することは不可能です。また、経済大国日本の姿があるわけではありません。そのときに、なにをもって日本の産業をアピールすることができるのでしょうか。
その一つは文化産業でしょう。日本の文化産業は、アート、漫画アニメ、放送、デザイン、食品、建築、工芸、スポーツなどに広がっています。しかし、国際競争力はまだ顕在化していません。デジタル技術を背景に、世界のコンテンツ競争が始まっていますが、日本のコンテンツ生産の比率は世界で1%~2%程です。その中でひときわ精彩を放っているのが建築分野です。日本文化の奥意を感じさせるそのデザインは、圧倒的な存在感があります。
 文化産業が目指すものは、豊かな生活を過ごすためのコンテンツの創出です。これまでの日常品市場での競争ではなく、それが目指すものは文化性と独創性に裏打ちされた卓越した「質」が勝負の高級品市場です。
 パリ日本文化会館も、いよいよ、こういった産業コンテンツを活用する方向に舵を切りつつあります。来年から、産業コンテンツを増やしていきます。圧倒的な人気を誇る日本の伝統文化、能、文楽などの伝統的なコンテンツも取り入れつつ、工芸、デザイン、映像、コンテンポラリーアートに広がる創造的文化を世界に発信していく予定です。
 日本の競争力のパラダイムチェンジが起こっているときに、いまほどオールジャパンの取り組みが必要とされているときはありません。ビジネスと文化活動は、これまで不幸にも融合することなく動いてきましたが、フランスの劇場、美術館はいっせいにデジタル技術を駆使した文化産業の創出に舵をきっています。そこから新しい投資の流れを作り出そうという強い意志が感じられます。
 文化的サービス、投資の流れは日進月歩の世界。パリという場所にいると、そういう流れは鮮明に感じられます。文化コンテンツが豊富な日本もまた世界の文化市場に向けて、飛躍する時期だと思います。その意味で、今後、在仏日本商工会議所の皆様と足並みをそろえて、共同事業を組んで一緒に仕事ができることを楽しみにしております。

パリ日本文化会館館長 竹内佐和子

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