2000年から会議所の6代目事務局長を務めて現在に至っています。
今年会議所設立50周年の機会に、これまでの歴史を振り返るべく過去の資料をあたってみました。残念ながら1990年頃から前の書類はほとんど残されていませんでしたが、当局届け出関係の書類から50年前の会議所設立前後の状況について幾つか分かったことがあります。

●1963年7月に仏内務省から会議所の正式認可が下りた訳ですが、その前年1962年5月に、同じ年に支店が開設されたばかりの東京銀行初代パリ支店長であった広田弘雄氏を初代会頭として設立申請書が提出されました。(因みに副会頭は日本航空の田子氏)
 そして会議所の住所は当時の東銀と同じ住所として届けられました。(116, rue du Faubourg Saint Honoré, Paris)

●設立時点のメンバーは他に商社などの商業活動を行う会社が主体で製造業は入っていなかった模様。このため設立時の名称は「在仏日本商業会議所」(Chambre de Commerce Japonaise en France)として登録されました。
現在の名称である「在仏日本商工会議所」に変更されたのはずっと後の1984年です。

●当会議所設立以前、即ち1963年より前の時代には、フランスの地元団体としてChambre de Commerce Franco-Japonaise という組織が1938年から存在していたようですが、これはフランス人のみにより運営され日本企業は入っておらず活動自体は活発ではなかった模様です。

 当時フランスには、外国商工会議所として米国商工会議所、英国商工会議所、イタリア商工会議所などが既にあり、日本企業・日本人により運営される外国商工会議所としての日本商工会議所設立の機運が盛り上がってきたものと推測されます。

●会議所住所の変遷についてみると、前述の通り設立時は東銀住所に置かれましたが、設立6年後の1969年7月に当時シャンゼリゼ通り脇にあった日本航空オフィスの一部を間借りすることになり、そこに3年間ほど住所を置いた経緯があります。(11, rue Lincoln, 75008 Paris)
その後ごく短期間の臨時オフィス(7, avenue GeorgeⅤ)を経て、1973年4月に1, avenue de Friedland に移転し、その後本年までの40年間会議所住所は変わらなかったことになります。そして50周年を迎えるこの記念すべき年に新オフィスに移ることになった訳です。


さて私の着任以降、比較的最近の会議所を取り巻く環境ならびに会議所の動きについて見ると50年前とは隔世の感があります。
近年日仏関係は飛躍的にその緊密度を増し、例えば政府ベースでは1990年代後半の対日キャンペーン「Japon, c’est possible」を引き継いだ新キャンペーン「フランス・日本パートナーシップ精神」が2000年にスタートしました。この時期ビジネス界では、トヨタの工場進出、日産・ルノーの資本提携など大型案件が相次ぎ、日仏双方向での投資活動が活発に行われました。
こうした日仏文化経済交流の機運の盛り上がりを背景に、当会議所の役割も益々重要性を帯びてきました。歴代会頭のもと、会員の役に立つ、開かれた会議所を旗印に、従来の伝統的な会議所体制に数々の新基軸が導入されました。
2003年に会議所規約を大幅に改正し、会頭、副会頭の選出方法の変更並びに再任制限を設け、それまでの特定企業から選出されていた会頭について幅広い企業の方に就任いただく体制としました。また会議所の活動内容ごとに6つの委員会を設け、30人の理事の方にはいずれかの委員会に所属いただき個別の活動に参加いただく体制としました。ホームページを大幅に刷新し、幅広い情報が整理されて会員企業に伝わるよう手直しをし、また会員に執筆いただくコラムを導入したのもこの時期です。
2005年には懸案であった日仏社会保障協定が締結され、2007年6月に発効しました。これにより社会保険料の二重払いが解消され当地進出日本企業の負担が大幅に軽減されることになりました。こうしたビジネス環境改善の観点からは、この時期日本人駐在員のビザ・滞在許可証の取得更新手続きの改善に注力し、日本大使館、ジェトロなど関係機関のご協力も得て制度面での改善が図られました。こうした改善努力は現在も当会議所の担当委員会で続けられています。

2008年は「日仏交流150周年」にあたり、日仏官民を挙げて数々の記念イベントが開催され日仏友好の機運が大いに盛り上がりました。この中で当会議所にとって最も重要なイベントとしては何といっても同年12月に日仏両国政府、日本大使館、ジェトロ、パリ商工会議所などと共催で行なった「日仏経済シンポジウム」でした。日仏の著名財界人、政府関係者など多数の参加の下、日仏間の投資やパートナーシップ、両国経済関係の新たな挑戦をテーマとして熱心な議論が展開されました。

昨年(2012年)12月の欧州委員会において日EUのEPA交渉開始が合意され、今春より両国間で具体的な交渉がスタートしています。本件早期交渉入りについては昨年来当会議所の会頭名でフランス政府(大統領、首相のほか関係大臣)宛に要請を行なってきた経緯もあり、当会議所として日EUのEPA締結には強い関心を寄せています。これにより今後より一層、日仏、日欧間の経済関係が緊密化し、日本企業の活躍の場が増え、そして当会議所の役割が一層重要となることを期待しています。              
事務局長 長塚勝幸

 

 

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