仕事面
しにくい点(困ったこと)
- 当社がサービス業のためか、私の周りのフランス人は所謂「工程表」又は「マニュアル」 を 作成することも、運用することも苦手。その結果、日本人のお客様に不要なご心配を お掛けすることになります。どうやら、仏人社員の意識の中には、大枠を 決めれば、後は状況が刻々と変化するのだから(確かに社会全体が納期等の基本ルールを遵守していれば、状況が刻々と変化することもないのでしょうが、実体 は皆様もご存知のとおりです)、その変化の中で、目標を達成していけば良い、いくしかない、始まる前に一生懸命細目を決めてもその時間と労力が無駄、とい う考え方が根強くあるように思われます。
確かに多くの場合、最後に辻褄が合っていく実態もあり、その度「ほらね」と得意顔になる仏人社員に「良く頑張った」と口では言いながらも、「結果オーライ だよね」「それなら最初からしてくれよ!」と心の中では叫びたくなることも。 - 「担当者がヴァカンス(休暇)で・・・」、フランス社会相手であれば通用するかもしれませんが、当社の場合は禁句、従って、如何に休暇を管理するか、どうバックアップ体制を取るかが鍵になります。言うは易く、行なうは・・・。
- 当社のように現場を抱えていますと特に、日本での「常識」を越えるいろいろなことが生じま す。ポイントはKY(危険予知)運動。自らの常識にのみ囚われず、想像力を駆使してリスクを見つけヘッジしていくのですが、これが結構疲れます。そして、 偶には通算17年間培ってきた私の想像力を越える出来事も。
- 日本人サラリーマンであれば、会社帰りの飲み屋で発散すると思われるストレスを「社内会議」で発散する?こと。往々にして、会議が際限なく、結論付かなくなります。
しやすい点
- 意気に感じると、時間外、週末等頑張ってくれます。ラテンです。無論、どのようにすれば「意気に感じるか」という最大の課題がありますが、一旦「嵌る」とどんどん行きます、行ってくれます。
- 「論理的」、多くの場合、必ず行動に理屈がある。時としてすぐ理解できない「理屈」ですが、この方程式が解けると傾向と対策が生まれ、いろいろなことが動き出します。
- 「システムD」があること。お互い「SYMPA(THIQUE)(気持ちが通じ合う」とこれも又上記の「理屈」とは別の世界で、いろいろなことが動き出すようです。
生活面
しにくい点(困ったこと)
- やはり「軽食」の選択肢の無さ、特に冬。フランス人は日本人より体温が幾分高いと聞きます が、そのためか冬でも昼食等サンドイッチで平気の様子(この頃ワインで体を暖めることも難しくなりました)。やはり寒いときは、日本の温かいお蕎麦かうど んが懐かしくなります。又、急いで食事をしなければならないときも選択肢がありません。
- 「何事も時間と手間がかかる」。「システムD」はいつも使えるわけではありませんから、普 段の時は、忍耐の一文字。その度神経を荒立てては、自分の身が持ちません。この時間と手間を楽しめるようになれば「フランス人」ですが、日本的サービスと 便利さに親しんだ「日本人」にとっては、良くも悪くも「人間修養」の日々が続きます。
良かったこと
- 「どこでもボンジュール、ボンソワール」。会社でも、エレベーターの中でも、知人は無論、見知らぬ人とも。やはり挨拶は、人間関係の基本、第一歩です。
- 「ビズ(頬と頬を合わせるキス)はともかく、社内で朝必ず行う握手」しっかりと相手の目を見て。冷たい手、温かい手。肌の触合いも、人間関係の基本。
- 「後の人にドアを支える行為」慣れるまでは支えるタイミングが難しいこともあります。これを日本で実行すると・・・
- 季節の移り変わり。特に冬から春へ。長く暗い冬を越して、光り輝く春になった時の喜び、全てが開放的になるこの瞬間。生きている実感、とは大げさか。
- 「バランス感覚」。外交のフランスと言われますが、日常も同様。何事も過度に振れず、妥協点を探って行きます。大人の世界といえば、大人の世界。
- 「車両事故等の際の冷静な対応」人間である以上、事故はつきもの、ということでしょうか。怒鳴りあうこともなく、淡々と事務的にコンスタ(事故現認書)を書き合い、後はサヨナラ。
- 「前回の勤務時(間8年)のメトロの切符がそのまま使えたこと」この世の中、日々変革が求められますが、一方で「変わらないこと」「変えないこと」にも価値を見出しているフランス。十年前とあまり変わらぬパリの街並みに包まれてホッとするのは私だけでしょうか。