『私の時代の商工会議所とフランス』
「大学の国際学術・学生交流の原点となった2年間」

 

阿波村 稔
国立大学法人新潟大学国際センター長


在仏商工会会議所設立50周年を迎えられ誠におめでとうございます。

 2000年4月~2002年3月の間、会頭を2期務めました。その後4月に、直接、新潟の大学に赴任して以来、早や12年目になります。大学での仕事は、当初は留学生センターで、30か国以上から日本にやってきていた留学生に対する生活指導とともに、英語での授業を提供するというものでした。その後、2004年の国立大学の法人化に伴って「国立大学法人新潟大学」となってからは、国際センター長として、大学の学術研究教育の国際連携全般に携わっております。当地でどうして大学に奉職することになったのかとよく聞かれます。パリでの会頭としての2年間がその原点にあると考えております。

 ミレニアムをまたがる二年間は、日本はバブル経済がはじけ、アジアでの通貨危機を経験した後、「失われた10年」を予感させる時代でした。しかしながら、フランスでは、1980年代の日仏経済摩擦を教訓に、シラク大統領の下で日仏の文化経済交流の機運が盛り上がり、トヨタをはじめ自動車関連の対仏投資が飛躍的に伸びた時期でした。また、ヨーロッパでは通貨統合のプロセスが着々と進み、2002年1月には現金通貨の統合を目の当たりにしました。会頭として心がけたことには3つありました。1つは、できるだけ多くの日仏関係の交流団体と接触する機会を持つこと、2つ目は、多くのフランスの地方を訪ね知ること、3つ目は、在仏日本商工会議所の事務局の若返りを図ること、でした。

会合や日仏交流協会での朝食会への参加、パリ商工会議所での講演会、そして新年のパーティーなど、数多くの日仏経済交流に長年携わっておられる方との出会いの中で人的な交流の大切さを学びました。この多様で密度の濃い経験が、現在の私の留学生および世界の大学との交流、さらには若い人材への教育にあたっての回帰点であり原点です。
(photo:小倉大使講演)

事務局の若返りについては、現在の事務局長の下、交流イベントの企画のみならず、実践的なセミナーなどの開催を増やし若手の会員の啓発・研修の場が数多く企画されるようになりました。その後、懸案であった日仏社会保障協定が締結の運びとなったこと、幅広い分野・経験からの歴代会頭のご活躍など、フランスを離れ日本海側の新潟から見ていても貴会議所を頼もしく感じております。

本年、オランド大統領が1996年以来17年ぶりの国賓として日本を公式訪問しました。今後とも日仏の関係は政治経済と文化が両輪となって国民的な交流が拡大していく中で、貴会議所はその重要性を増していくものと存じます。貴会議所の益々の発展をお祈りして50周年記念の特別寄稿とさせていただきます。

 

歴代会頭一覧


三宅 浩之 中島 格志 鶴岡 正三
河原畑 敏幸 石塚 徹 小田 義明
後藤 豊 片川 喜代治 北原 隆
阿波村 稔 中川 正輝 大山 昇
吉田 哲史 中川 正輝 猪瀬 威雄
左舘 晃 清水 信行 稲森 一彦
白石 義治 北野 健 佐藤 幸彦
萩原 薫 佐藤 洋夫 渡辺 昌俊
山田 史朗 小暮 治 山田 信彦
舟木 凌 江部 敬三郎 広田 弘雄
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