私が在仏日本商工会議所とともに活動・仕事をさせていただいたのは三菱東京UFJ銀行のパリ支店に勤務していた2005年9月から2010年1月の約4年半でした。
この間、理事に就任するとともに2期に亘り会頭の大役を仰せつかりました。

50年の長い商工会議所の歴史の中では極めて限られた期間ですが、運営に参加できたことは今も大変誇りに思っています。
商工会議所での活動は多岐多様にわたり、とても一遍のエッセイでは語りつくせませんが、特に思い出が深いものを二つ述べたいと思います。

会頭一期目でもっとも大きな、且つ重要な活動となったのは、日本人駐在員の滞在許可証発給手続の改善及びフランス語履修義務免除です。
フランスのVISA・滞在許可証手続はその煩雑さや時間を要することで兼ねてより悪評高いものでしたが、サルコジ氏が大統領に就任したことにより移民法の運用が強化され、一部の日本人駐在員にフランス語の試験と履修が義務づけられるようになり、日系企業の活動に支障が生じていました。
問題解決を図るため会員企業に対する詳細なアンケートを行い、その結果を踏まえ、在仏日本大使館、ジェトロの全面的なご支援をいただき、関係機関に陳情書の提出、面談を行いました。最終的には所管のオルトフー移民担当大臣に直接訴える機会も得られ、当方の主張につき理解を得られました。
その結果、日本人駐在員フランス語履修については特例免除の通達が発せられる一方、滞在許可証については当時政府が準備が進めていたSalarié en MissionとCarte de Compétences et Talentsの二種類の知識労働者向けの優遇法制が早期に成立し、制度面での改善が図られました。
投資環境の改善という意味ではささやかな取り組みですが、商工会議所の役割をアピールできたと思います。

もうひとつは会頭二期目の2008年に迎えた日仏修好通商条約締結150周年です。
この年に日仏様々な行事、イベントが執り行われましたが、日仏政府、パリ商工会議所、ジェトロ等と共同で開催した経済シンポジウムが私にとってはハイライトとなりました。準備は開催ほぼ1年前から始められ、日本とフランス、政府と民間と立場が違う共催者の意見を集約し、実際の段取りを進めるのは大変な作業でしたが、刺激ある経験となりました。シンポジウムのパネラーには日仏双方の著名経済人、識者に参加いただき、最後はルノー・日産のカルロス・ゴーン社長に締めのスピーチをいただいて大成功裡に終わりました。(不肖、私もパネルに参加する栄誉をいただきました。)


今年オランド現大統領が日本を公式訪問した際、メディアに「日仏は価値観を共有する国」という言葉が散見されました。
私も商工会議所会頭の職を通じて同じことを感じました。
日本と諸外国の関係を見ると、貿易・投資が活発なアジアを含む新興国が脚光を浴び、日仏関係はややもすると熟年夫婦のように地味な印象なきにしも非ずですが、文化、思想、哲学を含めより深いところで「価値観を共有する」と言える国関係は本当に希少です。
在仏日本商工会議所は設立以来、日仏の経済関係を支えるため地道な活動を続け、この希少な関係を築くのに多大に貢献したものと信じています。
私事ですが、現在フランスとは地球の裏側に位置するオーストラリアに駐在しています。ここではフランスは遠い存在で、個人的には関係はいささか稀薄の念を禁じえませんが、将来また何らかの機会に日仏関係の発展に資する機会があればと願っています.

 

歴代会頭一覧


三宅 浩之 中島 格志 鶴岡 正三
河原畑 敏幸 石塚 徹 小田 義明
後藤 豊 片川 喜代治 北原 隆
阿波村 稔 中川 正輝 大山 昇
吉田 哲史 中川 正輝 猪瀬 威雄
左舘 晃 清水 信行 稲森 一彦
白石 義治 北野 健 佐藤 幸彦
萩原 薫 佐藤 洋夫 渡辺 昌俊
山田 史朗 小暮 治 山田 信彦
舟木 凌 江部 敬三郎 広田 弘雄
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