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第十七回:ホクロのお話

ホクロのお話

今回はホクロについてお話しいたします。

 

「ホクロ」は非常にありふれた皮膚病で、医学用語では「色素性母斑」などと言います。色素を作るメラノサイトという細胞が変化した母斑細胞が皮膚の中で増殖した一種の良性腫瘍です。ホクロには生まれつきあるものと、後からできるものがあります。俗にホクロと呼ばれているものの多くは後天性のもので、大きくてもせいぜい直径1cm程度です。典型的なホクロの一生は、その出来始めは平たく境界もはっきりしているものが、年齢とともに隆起して中高年になると色調はむしろ淡くなってきます。これは始めは皮膚の表面付近にあった母斑細胞がだんたん皮膚の奥深くに落ちていくことによります。

 

ホクロの問題は大きく2つあります。1つは見た目の問題です。非常に目立つ場所に大きなものがあれば誰しも気になると思います。もう1つは癌との鑑別が困難なケースがあることです。見た目の問題は主に治療論が中心になりますので今回は触れずにおきます。ホクロと見分けがつきにくい癌には「基底細胞癌」と「悪性黒色腫」があります。ちなみにホクロが癌化するということは先天性の巨大色素性母斑以外の場合、きわめて稀です。すなわち、ホクロは一生ホクロのままで、癌は初めから癌として生まれているという説が有力です。基底細胞癌は非常にありふれた皮膚癌ですが、幸いなことにこれが元で死にいたることはほとんどありません。主に顔に出来ることが多く、発症する人の大部分は高齢者です。一方、悪性黒色腫(メラノーマ)は頻度は低いものの、悪性度が高く、皮膚癌で亡くなる人の70%以上は悪性黒色腫によります。原因ははっきりしていませんが、日光暴露、慢性刺激などが言われています。頻度は白人に多く、日本人はその10分の1程度です。不思議なことに、白人では背中や下肢(ふとももなど)に多いのに対し、日本人では足の裏に多く出来ます。見分け方はAssymetry(非対称でいびつな形)、Border(境界不明瞭)、Color(色調が不均一)、Diameter(6mm以上の大きさ)、Elevation(隆起)(頭文字をとってABCDEと覚えるといいです)。ただし、これだけでもはっきりしないことも多く、診察ではダーモスコピーというツールを使うことで診断精度が高くなります。

 

ホクロは、その人の特徴であり時にはチャームポイントでもあります。良いホクロとのつき合いは大切にしたいものです。

 

三村 佳弘 先生

三村 佳弘
アメリカンホスピタル
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