中川正輝 :元フランス三井物産社長、元在仏日本商工会議所会頭
CEFJ初代副会頭 前パリ日本文化会館館長

 

日本人とフランス人は本能的共感に駆られる !

日本人とフランス人は本能的共感に駆られる !
これは1920年代に駐日大使をつとめ、日本を愛した詩人Paul Claudelが発した言葉です。現駐日フランス大使    Christien Masset氏は着任時の挨拶で、そしてこの6月に国賓として来日したHollande大統領も国会での演説でこれを引用しました。理を好むフランス人らしくうまいことを言ったものだと、私も少なからず共感を覚える次第です。そんなフランスに数回滞在し、併せて20年余りこの国に親しんだことになりました。
在仏日本商工会議所創立50週年に鑑み、フランス三井物産代表として同会議所の活動にも微力ながら寄与した6年半(1994‐2001年)を顧みるだけでも色々の事が想い浮かびます。紙面の制約上三つだけ述べてみます。

1996年11月から12月にかけての3週間に及ぶ交通機関のゼネスト:
ストライキは日本では既に死語に近いほど、近年強行された気配はありません。
しかし、フランスでは労使関係の交渉過程において避けては通れぬ道筋でもあります。
それにしても、財政赤字是正手段としての社会保障改革法案実施に反対し1995年初冬3週間におよんだストライキは、人々の生活を苦しめる異例の出来事でした。その反面人々は車を乗り合わせたり、親類縁者の家に泊まったり、または徒歩で、とにかく出勤することにはあらゆる努力をする有様を目にし、正にフランス社会のSolidaritéを垣間見る機会でもありました。この国はストライキの常習国であるという侮蔑的表現も慎まねばならぬと自問する日々でした。

週35時間労働法案:
一般的にフランス人の日常の感覚として、「何となくは許されず」、常に理由が明確であることが身に着いた習慣です。納得する相手に‘‘avoir raison``とは良く言ったものです。
この理屈で通した典型的な法案が「週35時間労働法」と言えます。つまり「一人あたりの労働時間を短くすれば、企業は生産効率を維持するためには雇用を増やす。ひいては失業対策の一助を成す。」これが当時社会党の重鎮になりつつあり、あまり愛想も良くないMartine Aubry雇用大臣の意図でした。正に‘‘Elle a raison``でした。しかし、現実には雇用増にはそれほど寄与せず、残業や代替休暇に関する付帯条項の併設が避けられなくなり、ややこしい法案となりました。
原点では正に‘‘avoir raison``であったが、「言うは易し、行いは難し」の典型例であると言えます。

CEFJ(Comité d’Echange Franco-Jaonais :日仏経済委員会)の創設:
1997年パリ商工会議所側からの発案でCEFJ創設の提案がありましたが、日本企業側としては既に在仏日本商工会議所が存在するのに、重複し経費の無駄になるのではとの懸念もありました。私はフランス側から日本との連携を深めたいとの前向き姿勢に答えることは、我々だけでできないことも色々可能になるゆえ、賛同が望ましいと説得に努めたことを懐かしく思いだします。いまや日仏双方の多数企業が会員となりCCIJFと協力しながら正に補完関係にあることに深く敬意を表します。
当時パリ商工会議所とCEFJの会頭を兼務したMichel Franck氏は日本とは全くと言って良いほど馴染みのなかった人でした。しかしCEFJの活動および数回にわたる訪日を通じてすっかり日本がお好きになり、後に私がパリ日本文化会館の館長在職時は奥様と共に会館の催しに頻繁においでになるほどでした。Paul Claudelが言った「本能的共感」はこんなところにも実践されているのかも知れません。

 

歴代会頭一覧


三宅 浩之 中島 格志 鶴岡 正三
河原畑 敏幸 石塚 徹 小田 義明
後藤 豊 片川 喜代治 北原 隆
阿波村 稔 中川 正輝 大山 昇
吉田 哲史 中川 正輝 猪瀬 威雄
左舘 晃 清水 信行 稲森 一彦
白石 義治 北野 健 佐藤 幸彦
萩原 薫 佐藤 洋夫 渡辺 昌俊
山田 史朗 小暮 治 山田 信彦
舟木 凌 江部 敬三郎 広田 弘雄
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