ジッパーの起源は100年以上遡ります。面倒くさがり屋は、時として偉大な発明家に変身します。あるアメリカ人が、毎回靴紐を結んだり解いたりするのを面 倒くさがって、現在のジッパーの原型となる金属製のエレメント(噛み合う部分)をスライダーで開閉するジッパーを発明し、靴に使用したのが最初です。
このジッパーは、余りにも我々の生活の中に溶け込んでしまっているため、通常殆ど意識される事無く当たり前に使われています。しかし、何かトラブルがある と「一体どこのジッパーだろう?」という事になり、決して喜べる状態ではなりませんが、この時やっとサプライヤーの存在感が出て来ます。
一言でトラブルと言っても、品質上の問題、取り扱い上の問題、選択ミスに依る問題など色々あり、中にはサプライヤー泣かせの問題が幾つかあります。私も日 本の営業部に居た時(大昔の話ですが)に、突然、女性から非常に焦りを感じさせる電話があり、「ジ、実は、主人のXXXXにジッパーが噛み込んで外れなく なってしまったのですが、何とかして下さい。」と半泣き状態でした。日本では滅多にない事ですが、子供の事故ならまだしも大人の事故ですので、出来れば避 けたかったのですが、偶々、その時オフィスに居た営業は私だけだったので、止む無く小道具を抱えて現場に直行しました。聞いた住所が非常に解り難く、1時 間以上掛かって現場に近づいたところで、住所を確認する為に電話を入れました。「直ぐ近くに居る筈なのですが、お宅が見つからないのですが、、、」という 電話に対して、行き成り「アッ!どうも有難うございます。イ、今さっき取れました。」という明るい声。「何だよ折角ここまで来たのに」と思うのと同時に、 「ああ助かった」と思った次第です。
日本人は通常下着を着ますので、この種のトラブルは少ないのですが、特にアメリカでは下着無しでジーンズを穿く人が多いので、結構起こるトラブルなのです。
日本で一番多いのは、ブランドを確認せずに、問題があると何でも弊社YKKにコンプレインするという消費者です。日本で販売されているジッパーは殆ど全て がYKK製ですが、輸入された衣料、鞄、靴等には中国製のジッパーが結構使われています。この場合には、YKKのジッパーを提供出来ても修理が出来ない事 が多いのです。
壊れた時にしか意識されないYKKブランドですが、世界一を維持する為には、結構大変な努力を伴っています。