いきなり食い物の話しで恐縮ですが...と言ってもオオトロにボージョレが相性が良い、否、相性で言えばそれよりもサンジュリアンの方が...とかいった話ではありません。実は、欧州から日本に飛行機で運ばれる食料品の中で、この二つの品物が横綱級なのです。
昨年、飛行機で日本に運ばれたボージョレは60万ケース(720万本)、重量で言えば約9500トン、これではちょっと想像しにくいと思いますが、ジャンボ貨物機で94機分、ジャンボの旅客機なら、300機分の数量と言えばわかりますでしょうか?
EUから出荷できるのが解禁日1週間前の木曜日、解禁日に店頭に並べる為には、この数量を木・金・土・日のたった4日間で捌かなきゃいけません。当然パリ 発日本向けの飛行機だけでは間に合わず、ロンドン・フランクフルト・ブリュッセル・アムステルダムなど欧州各空港から、定期便・臨時便・チャーター便を駆 使、又アジア各地を経由させたり、時には米国から転送したり、結構苦心惨憺して運んでいます。
この時期に日本へ出張の方は、離陸時にちょっと気をつけてください。いつもより、飛行機の上昇が随分ゆっくりとしていますよ。 ...んな訳はないか。
一方の地中海マグロは、9月から翌年4月頃までの1シーズンに約5000トンが日本に空輸されています。一匹大体250キロ位ですから、欧州から毎年2万匹のマグロが空を飛んでいく計算になります。
冷凍物ならもちろん船を使うのですが、「冷凍では味が...」という グルメ?の為に、氷詰めにして飛行機で運びます。捕まえてきた成魚を外周2KMのお化けのような生け簀に入れて飼育する畜養マグロが主流で、頭と内臓を取 り除き、ビニールシートとカートンでしっかり氷詰め梱包をして、主に直行便を使って空輸、成田到着後速やかに築地市場に搬入して競にかけるものです。
成田は、マグロだけではなくサーモン、ウニなども到着、日本一の漁港といわれる所以です。
それにしても、日本人はぜいたくですね...と感嘆するよりも、食に贅を尽すのは文化度の充実と喜ぶべきか...(一介の輸送業者にとっては、誠にありがたい話です。